Love’s diary

偏愛、寵愛、やっぱり最愛。

国内リーグでは何故クラシックインサイドが流行るのか?

 

ダイエット中でひたすら歩いているゆりあです。…アイスクリームと焼き芋が食べたい。

 

さて、真面目なタイトルをつけました。

つまりはこういうことです。

「どうしてBリーグはダバンテガードナー選手やジョシュアスミス選手が活躍するのか?」

最近はファンの話が多かったのですが、バスケの話を久々にチャレンジしてみたいと思います。

 

まず、ここで書くことは。

※バスケに詳しい方向けではないと思います。例外事項や詳細なデータ比較はしませんので、多少の粗はお許しいただけたら幸いです。

※毎回のことですが是非を問うものではありません。あくまで私の私観です。

※私がよく使う語句には注釈を付けようと思います。できれば何も知らない方にも読んでもらえたら嬉しいので。

では、まいりましょう。

 

f:id:Wes_Love:20190918012009j:image

 

「クラシックインサイド」とあえてタイトルに入れました。インサイドはゴールに近い位置でプレーを主にするビッグマン*のことをここでは指します。

*ビッグマン…体格的に大きい選手のこと。

 

また、クラシック、は「古典的な」という意味で今回は使用しました。

 

私はかつてNBAを主に見ていたのですが、Bリーグに通うようになって、バスケットを観た全体的な印象は「古いタイプのバスケをするリーグなのね」です。

 

古い、と言うと、少し否定的に感じられるかもしれませんのであえてクラシックと書いています。かつて、NBAでもビッグマンにボールを入れてプレーさせるのが主流の時代がありました。私はなんとなく懐かしい気持ちにもなります。

 

彼らのプレースタイルはこうです。

アーク*内でガードからボールをもらい、体格差や重さを活かしてシュートを決める。アーク内なので、シュートは2点です。ファウルをもらってエンドワン*にし、フリースローを1本獲得できたらなお良し。

ゴール周りのシュートがうまく、コンタクト*にとても強い。

*アーク内…半円型のスリーポイントラインの内側のこと。

*エンドワン(and 1)…ファウルをもらいながらシュートを決め、フリースローももらうこと。

*コンタクト…身体のぶつかりあいのこと。

 

ガードが運んできたボールを、タイミングよく向き合ったビッグマンに渡し、バックダウン*していく。押し勝ったところで、シュートに入り決める。味方の選手はそれを見守る。

*バックダウン…ディフェンスを背負い、ドリブルを付いて、おしりでぐいぐい下がっていくこと。

 

よく見る光景だと思いませんか?

 

ビッグマンについているディフェンスの選手が、小柄だった場合はなすすべもなくシュートされ、長身の選手でも重さに押し負けて後退し、シュートの瞬間に思わず叩いてしまいファウルの笛が鳴る。

 

我が家の息子も、ミニバス時代で165/60くらいあったため、マッチアップ*が有利だった場合はよくやったプレーです。これはこれで、決まると盛り上がるものでもあります。

*マッチアップ…自分と自分につくディフェンスのこと。

 

国内での代表的な選手を2名ほど挙げましたが、大量得点された記憶は見た方にはあるのではないでしょうか。

 

Bリーグはこのスタイルが顕著だと思います。恵まれた体格は人種的にモンゴロイドである日本人にはなかなか得られないもののため、大量に得点するのは必然的にインポートの選手になりますね。

 

やられ続けて思うことは。

 

ねえ、これ、止められないの?

 

どうでしょうか。そう思ったこと、ある方もいらっしゃるかと思います。また、

 

こんなのナシにして、他の人に回せないの?

 

国内リーグがレギュレーションを変更させて外国籍選手の試合出場人数を減らしたこと、また、身長制限やスタイルの変更を訴えている一部のファンの方は、そう思ったのかもしれませんね。

 

ただ、現状では、これは今も続いています。

 

うちのチームはそうでもないよ!と思った皆さん。もうちょっと待ってください。あとで記述します。

 

彼らの止め方。

 

ディフェンスをしてインサイドを止めて、得点できないようにしよう!!!

 

バスケットは基本的に、ミスマッチ*を突くスポーツです。不釣り合いでこちらに有利な部分で攻め続けます。

*ミスマッチ…攻める側と守る側が不釣り合いな状況になること。体格差、技術差、敏捷性の差…など、どちらかが有利になること。

 

ガードナー選手を1人で止められる体格の日本人選手はいますでしょうか。

 

難しい問題です。

 

彼らはゴール下では機敏に動きます。120キロ近くの体重の方を90〜80キロの選手では支えることすら危険であり、200センチをゆうに超える身長では190〜180センチの選手が手を伸ばしても届かないところにボールを遠ざけることができます。

 

では止められる同じような体格の選手に来てもらおう!

 

そうするしかありません。こうして、試合に2人だけ出場できる外国籍選手は、大型化・重戦車化しています。

 

 

何故このスタイルが主流なのでしょうか?

 

それは簡単に

「その方が多く勝てそうだから」

です。

 

プロであるチームや選手たちは、もちろん勝ちたいのです。バスケットはたくさん点の入るタイプのスポーツですから、いっぱいあのネットにボールを入れた方が勝ちです。

 

負けて得るものが無いわけではないけれど、勝つことのメリットは非常に大きいです。一つでもいい順位でシーズンを終えること。それはプロのチームには欠かせない命題です。

 

たくさん点が入る。

 

それはつまりどういうことでしょう。

 

それは、効率がとてもよい、と言い換えられると思います。

 

効率とは、ざっくりと書くと、打ったシュートに対して、入ったシュートが多い、ということです。楽に決められることにこしたことはありません。

 

バスケットは攻撃の機会が最大で1回24秒しかありません。また、コート解放などで触った方は感じたと思いますが、あの位置のネットにボールを入れるのはなかなか大変です(だからこそ選手の皆様全員、すごいんですけどね)。

 

どんなに上手くても、シュート率が100%の選手はいません。だからこそ、一番確率のいい選手になるべく多くシュートを打ってもらう。

 

簡単に言うと、それが相手チームより1点でも多く得点し、勝つことへの近道になります。

 

じゃあ他の国でも、そうしてるの?

 

ここで他国と比べてみましょう。最高峰リーグ、NBAの現在について話すことにします。

理由は私がよく見ているから。ヨーロッパはヨーロッパで少し違うのですけれど、私が明るくないのでここではNBAとします。

 

NBAでの現在の主流は違います。

 

どうして?

 

それは、前述したスタイルよりも、もっと効率の良いバスケットを追求しはじめたからです。

 

想像のついた方も多いかと思います。

 

そういやシュート、2点じゃなくて3点入るやつあるじゃん。

 

得点効率でいえば、スリーポイントをたくさん正確に決めた方が良いのではないか?

というスタイルを考えているのです。

 

2人の選手がいたとします。

 

1人は、インサイドが主戦場の選手。

シュートの確率は60%、つまり10本打てば6回シュートが決まります。得られる得点は12点。

もう1人は、アウトサイドが主戦場の選手。

シュートの確率は40%、つまり10本打てば4回シュートが決まります。得られる得点は12点。

 

同じ12点を得ることができました。

 

後者に効率の良さを見出してチャレンジしているのです。

 

同じなら、前者でも良くない?

 

そうなのですが、前者と後者では得点効率以外に大切な要素を考えなければいけません。

 

それは、簡単に書くとかけっこの速さ、です。

 

前者の選手は、インサイドで相手を蹴散らすために大型で体重もあります。

後者の選手は、いい形でボールをもらってシュートするために動きは前者の彼らよりも速く、体重も軽く、足も速い。

 

前者の選手は、身軽な方よりはかけっこが速くないことが多いでしょう。体重の負担は直立歩行を選択した人類には、足腰にダイレクトに響きます。

 

前者は、比較的ゆっくり攻め、攻撃に時間がかかる。20秒かかったとしましょう。計1分ならチャンスは3回。

後者は、スピードに乗って攻め、15秒でシュートが打てたとします。計1分ならチャンスは4回。

 

後者が有利になってきましたね。もちろん、あくまで簡易に分かりやすいように差をつけました。

 

速く走ることは、インサイドの足の遅い選手を置いてけぼりにすることでもあります。追いつく前にシュートが出来れば、その時のかたちは5対4。数的有利も出てきて、ますますアウトナンバー*が出来やすくもなります。

*アウトナンバー…誰もディフェンスの付いていない選手をつくること。フリーになる、とよく言います。

 

また、もうひとつ。

 

攻撃の出来る範囲についても考えてみましょう。

 

前者は主にゴール周りで仕事をします。ディフェンスの選手もいますから、ゴール下は混戦しますし、また、そもそも内側なので居られる場所はあまり広くありません。

 

後者はスリーポイントラインならどこでも仕事ができます。ディフェンスの選手もいますが、与えられている場所はゴール下に比べると、格段に広いです。

 

これはスペースという概念です。

 

仮に前者も後者も、ゴール下/アウトサイドがどの角度からもシュートが決められるのであれば、範囲は広い方が有利ですね。

 

NBAはその可能性に賭け、現在の姿があります。ペースアップ*し、スペースの広いところで勝負し、アウトサイドシュートの確率を高める。昨シーズンNBAで最も高確率にシュートを決めた選手は47.4%でした。

*ペースアップ…1試合あたりの攻撃回数(ペース)を増やすこと。

 

f:id:Wes_Love:20190918024348j:image

よって、NBAではインサイドの選手でも走ることができ、なおかつ、アウトサイドに出てもシュートが出来る選手を多く活用しています。

 

スリーポイントをたくさん決めて点を取ろうとするなら、誰もが打てた方がいいですもんね。

 

こうして、NBAでは重量級のインサイドの選手はとても少なくなりました。

NBAでの流行を簡単に話しました。ディフェンスやリバウンドのことも話したいのですが、長文のためにここでは割愛。深く掘り下げていませんので、ご不満のフリークの方にはごめんなさい…。

 

 

W杯をご覧になった方は、ニュージーランド戦が記憶に新しいかと思います。決して大柄ではない彼らが、スリーポイントを正確に決め、インサイドの選手は走り負けないように比較的小柄だとしても走力のある方、なおかつインサイドでもスリーポイントが打てる方を揃える。

効率良く得点された試合だったと思います。

 

じゃあ、日本でもそれ、やったら?

 

そうなりますよね。

 

走っていっぱいスリーポイントを決めれば勝てる〜?!?!

 

昨シーズン、スリーポイント高確率の選手の順位です。カテゴリーはB1、国籍は日本としました。

f:id:Wes_Love:20190918082454p:image

f:id:Wes_Love:20190918082505p:image

先程やった算数的に並ぶ確率40%に達している方は9人です。「PTS」は平均得点です。10点前後が多いですね(日本が誇る変態金丸選手のみ17点超え)。

f:id:Wes_Love:20190918082656p:image

f:id:Wes_Love:20190918082703p:image

こちらはB1でフィールドゴールの成功率のグラフ。こちらでは先程の算数の60%に達している選手は4人ですが、PTSの部分は15点前後でしょうか(ガードナー選手に至ってはなんと27点超!)。ちなみにこれは国籍でソートはしていません。

 

雑に比較しましたが、平均値であっても、スリーで10点取っても、15点インサイドで取られます。

 

そもそも試投数*が大きく違います。スリーのグラフ「3PA」が250〜150くらいに対して(ここは安藤選手のみ400超)、フィールドゴールのグラフ「FGA」は1000 〜450くらいに収まっています。

*試投数…入ろうが入るまいが、シュートを打つ回数のこと。

 

では走れるのか。

 

速度のグラフはないのですが、走ってオープンスリーを決める場面。

Bリーグを観戦されている方は、多く見かけるでしょうか…?

走ってレイアップを決めることは見かけますが、スリーを打つシチュエーションはあまり見かけません。

そもそも、そこまで現在の日本人選手が速く戻って来られるでしょうか…。また、フリーのスリーポイントをズバズバと決めているでしょうか。

 

国内のバスケットのスタイルを、例えば、ニュージーランド代表のようなものに変えるとしたら、多くの選手がたくさんスリーポイントを決め、速く走らねばなりません。

 

インサイドで相撲のような勝負をするよりも、走り合いに持ち込んで素早くアウトサイドで得点した方が効率よく勝てる、となれば、勝つためにそれを選択するチームは出てきます。

 

現在のBリーグでは、それを混ぜていっている段階だと思います。

 

インサイドに強い外国籍選手を入れ、かつ、スピードのある展開とスリーポイントの打てる国内選手を入れるのがチームとして勝てる近道になっています。

 

これは昨シーズンチャンピオンシップを獲得したアルバルク東京ロスターです。 

f:id:Wes_Love:20190918160204p:image

f:id:Wes_Love:20190918160655j:image

 

そしてこちらは、昨シーズン最高勝率だった千葉ジェッツふなばしロスター

f:id:Wes_Love:20190918160717j:image

f:id:Wes_Love:20190918160734j:image

 

ここまで選手を揃えることは、大金を必要とすることは想像に難くないと思います。

 

全てのチームがこれだけの成績を残せる各選手を揃えることは発展途中のバスケット界で簡単なことではありません。

 

ですから、限られた予算内でできることは、たくさん点を取ってくれる人を連れてくる…。

 

 

 

ここまで、随分と長くなりましたが。

 

どのチームも限られた予算内で、勝つための努力をしていること。

現状、すぐに驚異的な変化が起こるわけではないこと。

しかし、選手がやること、成長していける部分で打つ手がないわけではないこと。

 

色々考えられると思います。

 

私は、この現在で、極端な対応策はない、と思っています。しかし、人も、バスケットも、変化し、成長していきます。

 

現代バスケットの流行も、10年もすれば新たな対抗策が模索されるでしょうし、その片鱗は世界に既にある、とも思います。

 

専門的には物足りず、ただ楽しむには少し堅苦しかったかもしれませんが、楽しむ要素の一つとして、こんな風に私が捉えている、と解釈してくだされば幸いです。

 

 

2019.09.ゆりあ